乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐために。
乳幼児突然死症候群は、英語でsudden infant death syndromeなので、これを縮めて「SIDS」とも呼ばれています。
読み方はそのまま、「エスアイディーエス」です。
一言で表すと、「赤ちゃんが寝ている間に起きた、原因不明の死」です。まず呼吸が止まり、それに伴って脳や心臓の機能も停止します。
悪夢のような話です。
「乳幼児」とありますが、対象は「原則として一歳未満児」と定義されているので、「乳児突然死症候群」と言った方が当てはまるかもしれません。
つまり、一歳を越えれば、ひとまずは安心ということです。
窒息や転落・溺死などと比べると死亡原因に占める割合は少ないので、過度に恐れる必要はないと思います。しかし、可能性を低くする工夫は覚えておいて損はないでしょう。
原因は不明。
この疾患の中には、「突然死」という言葉が含まれています。
「急死」と言った時には「突然に訪れた死一般」を全て含みますが、この「突然死」という言葉は「急死の中で、原因が分からない死」を指します。
つまり、SIDSの原因は不明なのです。
SIDSの予防策。
ただ、経験則として「こういった工夫をすれば、可能性を下げられるのではないか」という提言は発表されています。
1、常に仰向けで寝かせる。
2、固い寝具に寝かせる。
3、柔らかい物、ふわふわした寝具等を、乳児の周囲に置かない。
4、喫煙しない。
などが挙げられます。
順に見ていきましょう。
1、常に仰向けで寝かせる。
乳児をうつぶせで寝かせると、呼吸が難しくなるためです。
過去には「うつぶせにすると頭の形がよくなる」等と考えられていましたが、うつぶせ寝は窒息しやすい体位であることがハッキリと認知されています。
乳児は、仰向けで寝かせましょう。
2、固い寝具に寝かせる。
固い、というと、何も敷いていないフローリングのような場所を思い浮かべますが、この場合「過度にふかふかではない」と捉えればいいでしょう。注意事項の3と似通った点です。
例えば、赤ちゃんを寝かせた時に、ずももももっと沈んでしまうような寝具はいけないという意味です。
3、柔らかい物、ふわふわした寝具等を、乳児の周囲に置かない。
乳児の睡眠環境から、柔らかい物を極力取り除くという事です。
ただ、これについては現実的ではない部分もありますよね。そもそも、身体に掛けているシーツや毛布だって、口を覆ってしまう可能性は常にあります。
ただ、柔らかいぬいぐるみや口に入るような玩具などは、眠っている乳児の周囲に置かないようにしましょう。
4、喫煙しない。
喫煙の悪影響は様々な所で指摘されていますが、ここでも同様です。副流煙に限らず、妊娠中の喫煙との影響も指摘されています。
言われるまでもないとは思いますが、子どもを健康に育てる気があるなら、タバコは止めましょう。
また、個人的には、乳児を連れて焼肉屋に来ている方も、信じられません。
SIDSでは、まず、呼吸が止まります。
これを防ぐのが、対策の基本です。
そして、赤ちゃんは、初めて自分で呼吸を経験してから何ヶ月でしょうか?
そこに、有害であれ何であれ、「煙」を吸わされれば、たまったものではありません。
人が生まれるのは、奇蹟です。
しかし、死ぬのは当然です。
目の前の命が、今日なくなるかもしれない事実は、常に頭に入れておくべきでしょう。
保育園では。
保育園でも、SIDSを防ぐための対策は取られています。
乳児クラスの午睡(昼に限らず、子どもが眠っている時は)では、一人一人を対象としたチェックシートを使い、「呼吸」「顔の向き」等を15分置きに確認しています。
結果的に「眠った時間」も一緒に記しておくことになり、連絡帳を書く時には便利です。
※ヒダマルが務めていた園ではそうしていました。何をどこまでチェックするかは、各自治体の決まり等も関連しているとは想像します。
15分置きのチェックというのは、ご家庭では現実的ではないかもしれません。
しかし、少なくとも30分に一度は、赤ちゃんの様子を確認するべきだと思います。
近くに行って、呼吸や顔色を確認して、周囲に窒息を誘引しそうな物が置かれていないかチェックするのです。
まとめ。
前置きもしましたが、特別に恐ろしいイメージで捉える必要はないと思います。発症させないための対策をしっかり取っていれば大丈夫でしょう。
なぜなら、原因のはっきりした死の方が、遥かに多いのですから。寝ている時までビクビクしているよりは、起きている時に神経を使った方が、死そのものの予防には効果的です。
保育園でのチェックリストにしても、万が一の際に園や保育士を守るという意味合いもあります(もちろん、メインは子どものためです)。
それにしても、タバコってどうして止められないんでしょうねぇ……。
あ、ヒダマルは吸いませんが。
こちらの記事も、興味深く読ませて頂きました。