51歳の絵本。 『いない いない ばあ』
いないいない、ばあ。
0歳児との遊びと言えば、コレですよね。
赤ちゃんは、視界から消えた物を「なくなった」と認識します。
その後、「ばあ」の合図と一緒に顔が出てくる、その繰り返しが面白い遊びです。
赤ちゃんが本能的に注目する「顔」と「ほら、やっぱりね」という繰り返しの安心感、その組み合わせは乳児にとって鉄板に面白いようです。
大人に例えると、「ダチョウ倶楽部と熱々おでん」のような組み合わせでしょうか。
三者による体験。
1967年に発刊された絵本、『いない いない ばあ』。
2017年には50周年を迎え、その時点での発行部数は622万部を越えているそうです。
発売当初は、「いないいないばあは子どもと遊ぶものであって、絵本である必要はない」という批評もあったそうですが、ふたを開けてみると、実に多くの赤ちゃんが楽しむベストセラーとなりました。
というのも、「親がやってみせるいないいないばあ」と「絵本で読むいないいないばあ」では、赤ちゃんにとって大きな違いがあるためだと思われます。
「親がやるいないいないばあ」は、親と子の関係。登場人物は、二者です。
一方、「絵本で読むいないいないばあ」は親、子、絵本の三者で成り立っています。
親の行為そのものを楽しむのではなく、「親と子から離れて存在する現象を、一緒に見て楽しみ、共感する」という経験をもたらすのです。
分かり難いようなら、先ほどのダチョウ倶楽部さんの例えで想像してみてください。
「友達が熱々おでんを食べる様子を楽しむ」のと、「ダチョウ倶楽部が熱々おでんを食べる様子を、友達と一緒に楽しむ」では、大きな違いがありますよね?
『いない いない ばあ』の魅力。
シンプルな絵本に見えて、実は多くの工夫が隠されています。
まず、「いないいない」と「ばあ」、それぞれの見開きでは、登場人物が載っているページが違っています。
ページをめくる時に「いないいない」と「ばあ」の表情が一緒に見えないようにしてあるので、赤ちゃんにとって一瞬のタイムラグが生まれるのです。
また、「いないいない」と「ばあ」での、ささいな変化も面白い。
ねこの尻尾が左右反対になっていたり、クマの閉じていた足が開いていたりします。
「ほら、こんな違いがあるよ、面白いね」なんて伝える必要はありません。子どもは、自分で気づいています。
自分で、気づいて行きます。
まとめ。
今回は、絵本の魅力を紹介する企画を立ててみました。
そうなると、『いない いない ばあ』に触れない訳にはいかないという訳で、紹介した次第です。
赤ちゃんと楽しむ絵本に迷ったら、まずはこの本を手に取ってみてください。51歳、622万部以上という実績は伊達ではありません。
シリーズにして、ヒダマルお気に入りの一冊なんかもご紹介したいなぁ。