健やかに、伸びやかに。 『はらぺこあおむし』
日本の代表選手が『いない いない ばあ』だとすれば、世界で最もよく読まれている絵本はなんでしょう。
色々と候補は上がると思いますが……、そのうちの一冊が、『はらぺこあおむし』です。
言わずと知れたエリック・カールさんの代表作で、日本でも300万部以上が発行されています。
ボードブックや塗り絵絵本、DVDなどもあり、大人からの人気も高い一冊ですね。ヒダマルも大好きです。
ストーリーのある絵本。
『いない いない ばあ』や『じゃあじゃあびりびり』は、完全な繰り返し絵本です。ストーリーらしいストーリーはなく(起伏がない訳ではありませんが)、正に「赤ちゃん絵本」という印象ですね。
一方、この『はらぺこあおむし』には、ストーリーが含まれています。
赤ちゃん絵本が幼すぎると感じてきたら、ストーリーのある絵本への移行にぴったりな『はらぺこあおむし』が役に立つでしょう。
ストーリーの中盤に「繰り返し」の要素も入っているので、赤ちゃん絵本を卒業したての子どもでも楽しめる工夫がされています。
あんまり複雑だったり、長かったりする絵本では、まだ集中力が続かなかったりするものです。
(保育士は、この問題に少々頭を悩ませます。中間の丁度いい絵本って、あんまりないのです)
目安では、1歳から2歳へ移行するくらいの時期にぴったりだと思います。
途中、誰もが指を入れたくなる素敵な穴が開いているので、あまり小さな子に与えるとびりびり破られる恐れも。
2歳児から3歳児への移行では、坂井駒子さんの『ロンパーちゃんとふうせん』がぴったりなのですが、こちらは別の機会にご紹介します。
『はらぺこあおむし』の魅力。
世界に飛び出し、美味しいものを食べて、失敗してお腹を壊すあおむし。その後、緑の葉っぱを食べて元気になり、最後は蝶々に成長する、はらぺこあおむし。
子どもの健やかさ、伸びやかさを象徴しているのだと感じます。
2歳児といえば、イヤイヤ期。
自分と保護者との決定的な断絶に直面し、依存と自立の中で揺れ動く時期です。子どもも大人も、大変です。
(子どもも、の部分、大切です)
気持ちを押し通して、失敗することは増えるでしょう。2歳児では、欲求と能力に大きなギャップがあるからです。
イライラすることも増えるでしょう。お腹が痛くなることも。
でも、大丈夫。
そうやって成長していくのです。
きっと、乗り越えられます。
『はらぺこあおむし』は、自立への第一歩を踏み出した子どもたちへの、健やかな応援歌なのです。
まとめ。
保育士時代、ヒダマルは『はらぺこあおむし』のDVDを持っていました。
絵本の文章にメロディを付けた歌が収録されていて、絵本をめくりながら歌ってみせると、子どもたちはみんな釘付けでした。懐かしいなぁ。
間違いなく鉄板な絵本の一つなので、「迷ったらコレ!」と断言できます。
関連グッズも色々あるので、あるいは大人の方がハマるかもしれません。ぬいぐるみが欲しい。
以上、ヒダマルでした。