ヒダマルの子育て情報館。

元保育士なヒダマルが、お子さんとの生活の知恵を伝えます。

想像力で、遊びを作る。 『おおきなおおきなおいも』


 1972年発刊の絵本。
 表紙には「鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による」と添えられています。実話をもとにした絵本ですね。

 作者の赤羽末吉さんは『ももたろう』や『やまなしもぎ』等でも知られる絵本作家。
 子どもが読む本だからと手を抜かないどころか、「子どもが読む本だから手を抜けない」という姿勢で取り組まれていたことで有名です。尊敬します。

 

おおきなおおきな おいも (福音館創作童話シリーズ)

おおきなおおきな おいも (福音館創作童話シリーズ)

 

 

  

素敵な言葉と想像力。

 明日は芋ほり遠足。

 しかし、当日は雨が降ってしまいました。これでは、遠足は延期です。

 

 楽しみにしていた芋ほり遠足が一週間も延びて、子どもたちは残念な様子。
 諦めきれずに「傘をさしていけばいいんだ! 長靴はいていけばいいんだ! かっぱきていけばいいんだ!」とアイデアを出し、先生を説得しようと試みます。

 代替案を出して大人を動かそうとする姿勢とエネルギー、おそらく年長組でしょう。


 どうしようかと考えている時に、ひとりの子どもが、素敵な提案をしました。

 

 だいじょうぶ だいじょうぶ
 おいもはね 1つねると むくっと おおきくなって
 2つねると むくっ むくっ とおおきくなって
 3つねると むくっ むくっ むくっ とおおきくなって
 4つ ねて 5つ ねて 6つ ねて 7つ ねると
 いっぱい おおきくなって まっててくれるよ

 

 なんて素敵な想像力でしょう。
 なんて前向きな言葉でしょう。


 雨を恨んでいた子どもたちの心が、いっぺんに前向きで楽しい気持ちに変わりました。

 

 

表現する遊びへ。

 一人のこどもによって期待が膨らんだみんなは、一週間後のお芋がどんなに大きくなっているか、手を広げて表そうとします。

 一人の手では足りず、二人、三人と手をつないでも、お芋の大きさは表せません。


 と、いうことで、お絵描きすることにしました。

 この提案は先生からなのか、それとも子どもたちの中から出てきたものなのかは分かりませんが、どちらにしても楽しそうですね。
 共通のイメージをみんなで形にするなんて、まず間違いなく盛り上がることでしょう。

 

 

 赤紫の絵具で描くお芋は、一枚の紙には入りきらず、次から次へと紙を継ぎ足していきます。

 みんなで頭を寄せ合って描いた、「おおきなおおきなおいも」。
「どんなおいもができたかな?」と声をかけた先生に、子どもたちは喜んで披露します。
 ページを貫いて、めくってもめくっても続くお芋の絵に、こちらもびっくり。

 84ページある絵本のうち、14ページがお芋の絵で占められています。

 

 

まとめ。

 とある子どもの素敵な発想と、みんなの想像力・行動力によって、「おおきなおおきなおいも」が出来上がりました。

 子どもたちの表現したい欲求は、この時点であらかた満たされていたかもしれません。
 けれど、この先生は、さらに素敵な想像力の持ち主なのです。


 こーんな おおきな おいも
 どうやって ほりだすの?


 ……さあ、どうやって掘り出しましょう。

 

 

 このお話は、実はまだまだ続きます。
 ここからが本番と言ってもいいくらいです。

 先生の言葉から、どんな空想が膨らむのか、どんな遊びが展開されるのか、是非読んでみてください。